2023/01/24 16:00
前回、蒸して皮を剥いだ楮の皮。
今回はこの皮の黒い部分を削いで白い部分だけにしていく作業『かごそろえ』を解説します。
皮だけになった楮は、保管の為に一度乾燥します。
その皮を水で戻し、黒い部分を少しずつ削いでいきます。
黒い部分を削ぐと白皮に小さな傷を発見。そんな小さな傷も包丁で切り取ります。
冬の寒い中、ひとつの汚れもないように丁寧に皮を一枚ずつきれいにしていきます。
手は悴み、体も冷え切りますが、美しい紙を作る為には欠かせない作業です。
黒い部分を削いだ皮は、乾燥して原材料として保存されます。
その後も、更に手間をかけて、原材料を煮たり、洗ったり。
大きな機械で叩きほぐした後にも傷やチリを丁寧に除いたりして、「紙素」を作っていきます。
その紙素を使って、いよいよ『紙漉き』の工程が行われます。
皆様もよくご存知のイメージかと思いますが、この段階までには、1年以上の期間と労力がかかっています。
気温がグッと下がる冬は水も紙素もよいコンディションに保たれるため和紙作りには適しており、今の時期が繁忙期です。
さて、次回は最終回、『紙漉き』を解説いたします。