2024/02/20 20:00
八百年以上も変わらない方法で作られている黒谷の和紙の中には、
日本のありとあらゆる自然に存在する「八百万の神様」が宿っています。
黒谷和紙の不変さは、まるでその神様たちに守られているかのように、
そして、街の暮らしとはかけ離れた時間の中で生き続けています。
「Kurotani Chronicle(クロタニ クロニクル)」は、
現代をあくせくと生きる私たちの日常を、私たちの心を、
黒谷和紙を使った製品でより豊かにするための新しいブランドラインです。
黒谷和紙に秘められた強くしなやかな力を現代生活の中に息づかせることで、
人々が忘れかけている「時を大切に生きる」ことを伝えたいと考えています。
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私たち現代人の多くは、ビルに囲まれた人工的な土地に住み、
時間や仕事に追われ、タイパやコスパばかりを気にしてしまう日々を過ごしています。
便利で豊かな日常を望んだはずなのに、なんだか窮屈で、余裕がなさそうに人々はすれ違っていく。
しかし、場所を変え黒谷和紙が作られる綾部市黒谷地区を訪れると、
そこは、全く違う世界にいるかのようです。
静かで穏やかで、美しい水と自然があり、ゆったりとした時間が流れていて。
まるで「紙の神様」に守られているような場所で、優しく強い人たちが黙々と紙を漉いています。
紙を乾かす暖かな陽の光、簀桁(すけた)が動く心地よいリズム、
紙素を叩く職人の汗、煮立つ楮(こうぞ)の香り、一晩かけて皮を柔らげる清流、
丁寧に皮を剥ぐ包丁さばき、刈り取った枝を束ねる手、里山に降りる朝霜、
青い空へと伸びる枝、小さく愛らしい雌花、そして株から顔を出す新芽。
同じ時間軸なのに、感じる「豊かさ」が格段に違います。
それは何故か、その豊かさを掘り下げてみると、
美しい水と集落によって支えられた、黒谷の歴史がありました。
原材料作りから紙にするまで、1年以上をかける手間暇。
職人の高度な手作業と、心を込めた美しさ。
あたたかい人達と、その営み。
人として忘れてはいけない大事なものが「黒谷和紙」には詰まっていて、
それ自体が貴重で、尊いブランドなのだと気づきました。
黒谷地区を訪れることはできなくても、
その場で作られた製品を日常生活に落とし込み、
現代の生活に寄り添うことができるかもしれない。
シリーズ名の「Chronicle」には「時間」「年代記」などの意味があり、
黒谷の歴史と時間から紡がれた製品を、私たちの生活に取り入れることで、
大切な豊かさを忘れずに、日々を過ごしてほしい。
そんな願いを込めながら「Kurotani Chronicle」を時間をかけて作り上げました。
全て手作業で、職人がひとつずつ原材料から紙を漉いて製品化しています。
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すべての時間に物語があって、すべての紙にはその物語が詰まっています。
そしてここから先は、手にとったあなたの生活の中で新しい物語を紡いでください。